プログラム:保健・医療・福祉・陽性者支援
2024.09.02
医療関係からも毎回多くの出展があります。予防・検査・陽性者支援など多岐にわたります。実臨床を行いながら、広く社会全体へのアプローチを考えてくださっている方々がたくさんおられることは、とても大事で、ありがたいことと思っています。
1.全体会2 「薬害エイズ和解から学ぶ感染症との向き合い方」 6日15:00~16:30
すでに、ご紹介済みですが、企画の経緯をもう少し、ご説明いたします。
日本では1996年に薬害の和解があり、ちょうどそのころやっと3剤併用のHIV治療が可能になりました。まだ性感染症のHIV陽性者は少なく、ほとんどの病院でHIV治療の経験はありませんでしたが、和解によりエイズ拠点病院制度ができました。拠点病院では最初からトップダウンで全科対応となり、感染対策、性の多様性の理解、カウンセリングマインドなど、陽性者を迎える万全の準備ができました。ただ医療費はべらぼうに高く大きな問題でしたが、感染経路を問わない身体障害認定とそれによる自立支援医療により、CD4500未満の規定はありましたが、医療費を気にせず治療を受けることが可能となりました。UNAIDS(国連エイズ合同計画)では2015年に初めて、90-90-90を提唱し、HIV陽性者を見つけ出し、皆にHIV治療を提供し、コントロールすることが新規HIV陽性者を減らすには大切と言いました。陽性者を見つけ出すことはともかく、後半の診断さえされれば、皆に治療の提供とコントロールが約20年前から日本ではできていたということです。10年余りの長い薬害の訴訟の、当事者、支援者の活動の中で、感染症との向き合い方を会得され、実践された結果と思い、頭がさがります。悪いのはウイルスであって、陽性者とは共に生きるというメッセージをいただきました。これは今後も遭遇するであろう新しい病原体との向き合い方の手本になると思います。感謝と未来へきちんと伝えたいという想いで、この全体会を企画いたしました。当時から現在まで活躍されておられる演者の皆様が、今回ご遠方より来ていただき、ご講演いただけることに深く感謝いたします。
2. 「HIV陽性者の高齢化を考える」 6日 10:00~11:30
陽性者の高齢化について現状はどうなのか最新のデータ、海外との比較を踏まえてディスカッションします。
司会:白野倫徳(大阪市立総合医療センター)
発表:
『血友病における高齢化』 兵庫医科大学 澤田暁宏
『地域における受け入れ』 南奈良総合医療センター 宇野健司
『イギリスにおける高齢陽性者診療』奈良県立医科大学 今北菜津子
その後にディスカッションいたします。
関西HIV臨床カンファレンスの医師の皆様です。現在第一線でHIV診療をされている方々から、現在のHIV陽性者の問題点とその対策について語っていただきます。
3.「HIV陽性者の高齢化とその支援」 (特定非営利活動法人パープル・ハンズ) 6日 13:00~14:30
高齢化する陽性者の支援について、性的マイノリティで身寄りなし・高齢独居者の終活問題として考えます。
特定非営利活動法人パープル・ハンズは、性的マイノリティの老後を考え、つながりあうNPO、老後や同性パートナーシップの確かな【情報センター】です。今回はコロナ後初めて発表、展示でご参加いただきます。多種多様の無料のパンフレットをいつもたくさん提供くださいます。
4.「コロナ禍で減ったHIVと増えた梅毒、検査の課題は何か?」
(吉備国際大学 中瀨克己,大阪健康安全基盤研究所 阪野文哉,京都市 岡田ななゑ)6日 10:00~11:30
急増する梅毒と徐々に減り続けるHIV・AIDS報告。予防対策や検査を通して見えるエイズや梅毒等の今とこれからについてお話しします。
毎回、現在の検査の課題について、ご提示くださっています。性感染症は見つかりさえすれば、ほぼ治療可能です。予防と共に。いかにして検査件数を増やすかがとても大事です。また、早くみつけてすぐに治療が、最良の予防もになります。